
VOCA展特集第二弾。今回は、実際の展覧会の様子を、受賞作品の紹介を中心にお届けいたします。
やっと春らしさを感じられるようになったこの時期、今年も東京、上野にある上野の森美術館でVOCA展が開催されます。
今回のVOCA2010では受賞者が全員女性という、VOCA展史上2回目のことだそうです(選考に性別はもちろん関係ありません)。
どの作品も一見しただけでは素材や技法がわからなく、「-新しい平面の作家たち-」と展覧会名の副題にもあるように、「平面」作品の可能性、多様性が改めて伺える展覧会になっています。
昨今、日本の平面作品の傾向は多くが「具象絵画」となっているようですが、今回もほとんどが具象であり、さらに「揺らぎ」や「浮遊感」など、どこか不安を感じさせる現代の閉塞感が、作品に現れているようだと選考委員の所感にもあります。
たしかに、多くの作品が外部ではなく、内側に向いている世界観のものが多いように思われました。しかし、そこには各作家の新しい平面としての作品を作り上げていこうという創作意欲、また可能性も感じらるとても充実した展覧会でした。
それでは受賞者の作品を中心にレポートしていきます。
VOCA展2010:VOCA賞
三宅砂織「内緒話」「ベッド」

各145.0×165.0×5.0cm
ゼラチンシルバープリント
撮影者©上野則宏
まずは今年のVOCA賞を受賞された三宅砂織さんの作品です。
一見何で描かれているのか分からない、不思議な質感のする作品。これはフォトグラムとういう古い写真技法で、透明シートにドローイングし、それを印画紙の上に置き感光するという技法を使っています。
作家は描かれたイメージやオブジェクトではなく、そこに現れる隙間(空間)を表現していると言います。
ぼんやりと浮かび上がる、意味ありげな少女たちや、カーテン、シーツの流動感。その描かれた白い光の痕跡を見ていると、様々なイメージが膨らんでくるようでした。
VOCA展2010 VOCA奨励賞
坂本夏子「BATH,L」「Funicula(仮題)のための習作 b」

215.0×212.0×4.0cm、91.0×116.7×2.5cm
油彩、カンバス
撮影者©上野則宏
こちらは坂本夏子さんの作品。現役大学生の彼女はこの作品を山に囲まれた大学のアトリエで描いたそうです。今回のVOCA展に見られるキーワードのひとつでもある「揺らぎ」がとても顕著に現れた作品です。見ている側の視点が定まらなくなるような、不安定な空間表現。また、近くによって見ると作家の思いが、その筆触から直に伝わってくるような、迫力のある作品でもあります。
中谷ミチコ「そこにあるイメージ I」「そこにあるイメージII」

122.8×59.3×8.0cm、122.5×56.5×8.0cm、84.5×69.0×9.0cm
石膏、ポリエステル合成樹脂、樹脂用顔料
撮影者©上野則宏
中谷ミチコさんの作品は一見、普通の絵画に見えますが、実はこれ、「彫刻」とも「絵画」とも言える作品なんです。この画像を見るだけでは、どこがどう彫刻なの?と思うかもしれません。仕組みは実際に作品を見て実感していただくとして、ただ絵具で紙やキャンヴァスに描くだけが平面作品ではない、という平面の可能性を感じされるとても面白い作品でした。
VOCA展2010 佳作賞
清川あさみ「HAZY DREAM」

150.0×11.5×3.0cm が2点
写真、刺繍糸
撮影者©上野則宏
この清川あさみさんの作品も、一見しただけではどうやって描いているのかわかりません。作品に近づいて見ると、画面全体に刺繍されていることがわかります。作家は、まず写真の上に刺繍をし、それを撮影し、さらにその上から刺繍を施します。技法を幾重にも重ねた重層的な作品です。
キラキラと光る無数に縫い付けられたスパンコールと現代都市の風景を写した写真が合わさり、渾然とした世界観を作り出しています。
VOCA展2010 佳作賞/大原美術館賞
齋藤芽生「密愛村 ~ Immoralville」

82.0×82.0×4.0cm を9点
紙、アクリル
撮影者©上野則宏
齋藤芽生さんの作品は一つ一つの絵が闇の中からぼんやりと浮かび上がるような、不思議で怪しげな作品。近くによって細部までじっくり見てしまう、その描写力も魅力となっている作品です。物語性のある作品からは独特なオーラの漂いが感じられました。
展覧会概要

1994年に始まったVOCA(ヴォーカ)展は今回で17回目を迎えます。VOCA展は全国の美術館学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品するという方式により、毎回、国内各地から未知の優れた才能を紹介してきました。
「VOCA展2010」には35名の作家が絵画、写真、ドローイング、オブジェなどによる力作を出品しています。このなかから7名の選考委員によりVOCA賞1名、VOCA奨励賞2名、佳作賞2名が選ばれました。また、大原美術館賞が館の選考により決定しました。
今回のVOCA展でも「具象」表現が大半を占めています。その傾向はきわめて多様ですが、たとえば受賞作のなかにも見られるように描く行為と写真の技法を融合させたもの、絵画にあっても写真・映像的な揺らぎや動きを備えたものが目を惹きます。さらに、こうした揺らいで浮遊するような表現は現実社会への不安や違和感をつよく映し出していることも特徴といえるでしょう。
若い作家たちがどのように時代の空気を受け止め、新しいイメージを創出しようとしているのか、「VOCA展2010」はきわめて興味深い成果を見せています。(公式サイトより)
展覧会詳細
現代美術の展望「VOCA展2010-新しい平面の作家たち-」
@上野の森美術館
会期:2010年3月14日(日)~3月30日(火)〔17日間/会期中無休〕
入場料:一般・大学生:¥500、高校生以下:無料
主催:「VOCA展」実行委員会、財団法人日本美術協会 上野の森美術館
協賛:第一生命保険相互会社
http://www.ueno-mori.org/voca/2010/index.html
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出品終了しました
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