
VOCA展とは40歳以下の平面の作家を対象とした、若手作家の登竜門としても知名度の高い展覧会です。普通の公募展と違い、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストたちが若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品する、という方式の他に類を見ないユニークな展覧会です。
今回の特集ではVOCA展での受賞経験作家2名に、VOCA 展について語っていただきました。なかなか聞くことのない選出過程についてお話ししていただいた貴重なインタビューとなっています。
VOCA展とは40歳以下の平面の作家を対象とした、若手作家の登竜門としても知名度の高い展覧会です。普通の公募展と違い、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストたちが若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品する、という方式の他に類を見ないユニークな展覧会です。
1994年より毎年早春に上野の森美術館で開催されており、これまでに、福田美蘭(1994年 VOCA賞受賞)や、やなぎみわ(1999年 VOCA賞受賞)、村上隆(1994年、2000年)や会田誠(1999年)、蜷川実花(2006年 大原美術館賞受賞)、山口晃(2007年 府中市美術館賞)など、現代のアートをリードする、錚々たる作家たちもこのVOCA展を通ってきています。
※そのVOCA展で受賞されました山口晃さんも参加している、FIFAワールドカップ2010南アフリカ大会オフィシャル・アート・ポスター。詳しくは、公式サイトをご覧ください
今回の特集ではVOCA展での受賞経験作家2名に、VOCA 展について語っていただきました。
なかなか聞くことのない選出過程についてお話ししていただいた貴重なインタビューとなっています。
展覧会チケットをプレゼント致します。詳しくは、記事の末尾まで
大谷有花さん

「キミドリの部屋」
1977年 神奈川県生まれ
2001年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2003年 多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修了
「VOCA展 2003」にてVOCA奨励賞 受賞 / 作品 「キミドリの部屋」
出展が決定した当時(2002年)の大谷さんにとって、VOCA展とは?
その当時、私は大学院生だったのですが、美術学生や若手作家の間でVOCA 展はすでに知られた存在でした。でも、VOCA展の詳しいことは知らず、「最先端の絵画の展示会」という漠然としたイメージを持っていました。
あと、当時は結構いろんなコンペがあり私も応募していた(*1)ので
すが、VOCA展は推薦制なので賞をとるのがより難しい特別な公募展という認識もありました。
みんな出したいとは思うけれど、自分では出せないのでやはり特別でしたね。
*1「第6回 昭和シェル石油現代美術賞展」本江邦夫審査員賞 受賞
VOCA展への出展はどうやって決まったのですか?
今思い出しても、興奮してきます。
2002年6月にカサハラ画廊(東京・京橋)で2回目の個展を開催していたところ、推薦委員だった名古屋覚さんがいらっしゃって、その場で突然出展を依頼されました。実はそれ以前から私の作品はご覧いただいていたようで、ギャラリー手(東京・京橋)での初個展が最初だったようです。
当時の出展者としてはかなり若いほうだったので、周りからはとても驚かれました。また、VOCA 展に出られること、推薦されたということだけで、一つ大きな賞をいただいたくらいの嬉しさがあったことを覚えています。
出展が決まってからはVOCA展を「純粋なチャレンジの場」として捉え、出品のための新作に取りかかりました。
どんなものをつくろうかとかなり考え、いつもの制作よりも気合が入っていましたね。
その時の自分が一番よいと思ってるものを出すことに全力を傾けました。
最終選考の結果発表はどのように伝えられるのですか?
私の場合は、突然電話で来ました。大体の通知時期は知らされていたのですが、詳しい日時などは聞いていなかったので驚きました。電話を切ったあとに「あれ、賞とったの、私?」となかなか信じられなかったのですが、その後、正式な通知が書面で送られてきて「ああ、本当なんだ」とやっと実感しました。
受賞は、その後の作家活動に影響しましたか?
とても変わりました。自分の作品が雑誌に載ったり、取材をうけたり、テレビに出たり、美術館からのオファーが来たりといったことが急に増えました。特に受賞した翌年の2004 年は展覧会がとても多くて、とにかく忙しく過ごしました。
VOCA展での受賞が作家としてのお披露目になり一気に活動範囲がひろがったな、と今になって思います。
ただ、VOCA展は登竜門であり通過点なのだと思っていました。これが到達目標になってしまうと、そのあとの作品が続かない。そこを自分でもうまくコントロールしつつ、支援も受けつつ、作家として成長していけるかが大切だと考えています。
VOCA展受賞者への「支援」とは?
通常の公募展では賞金などを進呈して終わり、というものが多いのですが、VOCA展は受賞後の支援がとても充実しています。まず、第一生命ギャラリー(東京・有楽町)での展示機会を得られることが一番うれしい。また、賞金額が大きいこと(*2)も若手作家にとってはうれしいことです。
賞金だけではなく、新作や大きな作品を披露できる場所も提供してもらえることで、純粋に創作活動に打ち込みながらも継続して発表機会を持ち続けられます。これは、自分が伸びる時期に高いクオリティで創作し続けるためにはとても重要なことです。そういった意味でも「本当の支援」になっていると思います。
VOCA展の協賛でもある第一生命保険相互会社さんのメセナ事業方針が「継続と育成」だそうで、こういった活動を長年にわたってされていること(*3)に対して本当に感謝しています。近年では景気後退の影響もあり公募展の数がかなり減ってきていますが、今回で17 回目となるVOCA展には、これからも若手作家への支援の継続を期待しています。
*2 VOCA賞は300万円。奨励賞は150万円。(2003 年)
*3 第一生命保険相互会社は「VOCA 展の開催」でメセナアワード2000のメセナ大賞を受賞。
この7年間で、VOCA展は変わりましたか?
相変わらず美術業界内での位置づけは高いと思います。ただ、7年前のVOCA展にはかなり専門的なイメージがありました。それに比べて今では現代美術の人気が高まってきたこともあり、業界内だけでなく一般の美術ファンにもだいぶ認知されているように感じます。毎年楽しみにしている方も増えてきていて(*3)、だんだん開かれた展覧会になってきているな、という印象です。
実際、最近ではギャラリーなどにいらっしゃるお客さんからVOCA 展の話や受賞者についての詳しい話などが飛び出すほどです。またVOCA 展を通して、これから活躍するであろう若手作家を誰よりも先に見つけ出すことに楽しみを感じていたり、楽しみ方も人それぞれのようですね。
「VOCA展に出る前から注目していたんだよね~」って話も出たりして、お客さん自身も参加しているような感覚なのかもしれません。
*3 「VOCA展 2009」の来場者は過去最高の約1万3000人。
高木こずえさん

「ground」
© Cozue Takagi 2009 Courtesy of TARO NASU
1985年 長野県生まれ
2007年 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
「VOCA展 2009」にて府中市美術館賞 受賞 / 作品 「ground」
出展が決定した当時(2008年)の高木さんにとって、VOCA 展とは?
私は写真をやっていますので、推薦されるまでVOCA展はあまり意識していませんでした。
というのも、VOCA展は絵画専門というイメージを持っていたからです。
写真作品がほぼ毎年出展されていることは、自身の出展決定後に知りました。また、写真にも登竜門と言われる公募展がいくつかありますので、それらに比べると写真作家のなかでの認知度は低いのかもしれません。
VOCA展への出展はどうやって決まったのですか?
2008年の夏前に推薦委員の光田由里さんから出展依頼の連絡がありました。
突然のことなうえ、VOCA展のことをあまり意識していなかったこともあり大変驚きました。
エプソン(*1)やキヤノン(*2)の公募展で受賞したころから私の作品をご覧になっていただいていたようです。
*1 エプソン「カラーイメージングコンテスト」(2006年度 準グランプリ受賞)
*2 キヤノン「写真新世紀」(2006年度 グランプリ受賞)
受賞は、その後の作家活動に影響しましたか?
受賞してまだ1年経っていないということもあり、実感としては分かりません。
何年後かに振り返ってみて、初めて分かることなのかもしれませんね。
ただ、出展決定後から受賞前の出来事ではありますが、VOCA展に出展した作品「ground」を見た出版社の方から写真集発売(*3)のお話があり、お受けすることになりました。
*3「MID」「GROUND」を2冊同時刊行(2009年11月発売)
【第一生命 南ギャラリー 展示スケジュール】
「大谷有花展」Ⅲ 2009 年10月5日(月)~10月30日(金)※終了 「VOCA展2003」VOCA奨励賞受賞作家の個展。3回目。
「HEARTBEAT-SASAKI 展」 2009 年11 月10日(火)~12 月18 日(火) 「VOCA展2004」VOCA奨励賞受賞作家の個展。2 回目。
「みやじけいこ展」 2010 年1 月14日(木)~2 月9日(火) 「VOCA展2000」VOCA奨励賞受賞作家の個展。
「高木こずえ展」 2010 年2 月17日(水)~3 月12日(火) 「VOCA展2009」府中市美術館賞受賞作家の個展。
「居城純子展」Ⅱ 2010 年4月(詳細日程未定) 「VOCA展2005」VOCA奨励賞受賞作家の個展。2回目。
「藤原裕策展」 2010 年5月(詳細日程未定) 「VOCA展2008」佳作賞受賞作家の個展。
「関根直子展」 2012 年10月(詳細日程未定) 「VOCA展2008」府中市美術館賞受賞作家の個展。
【大谷有花 さん 今後の予定】
「美の予感 2010 -新たなるカオスへ-」
会期:2009 年12 月16 日(水)~12 月22 日(火)
会場:高島屋・日本橋本店 6F 美術画廊(東京・日本橋)
この後、大阪店、横浜店、新宿店など高島屋・5 店舗を巡回予定。
【高木こずえ さん 今後の予定】
「高木こずえ展」
会期:2010 年2 月17 日(水)~3 月12 日(金)
会場:第一生命 南ギャラリー(東京・有楽町)
写真集「MID」「GROUND」を2冊同時刊行
2009 年11 月に赤々舎から初の写真集が発売されました。
全く異なるタイプながら、まるで双子のような2冊です。
「MID」定価4300+税、「GROUND」定価1800+税、発売元:赤々舎
展覧会詳細
現代美術の展望「VOCA展2010-新しい平面の作家たち-」
@上野の森美術館
会期:2010年3月14日(日)~3月30日(火)〔17日間/会期中無休〕
入場料:一般・大学生:¥500、高校生以下:無料
主催:「VOCA展」実行委員会、財団法人日本美術協会 上野の森美術館
協賛:第一生命保険相互会社
公式HP:http://www.ueno-mori.org/voca/2010/index.html
展覧会チケットプレゼント!
展覧会チケットプレゼントの応募は締め切りました。
沢山のご応募、誠にありがとうございました。
※掲載内容に1部誤りがございました。ここでお詫びするとともに、下記のとおり訂正させていただきます。
大変申し訳ありませんでした。
誤)松屋銀座で行われる⇒正)上野の森美術館で開催される
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