
今回は、現在六本木の国立新美術館で行われている『ルノワール―伝統と革新』展のご紹介です。
日本でも特に人気があり、みなさんもよくご存知のルノワール。「色彩の魔術師」と呼ばれていたように、美しい色彩や、柔らかな雰囲気からは、その絵の中の空気が観ている側にも時間を越えて伝わってくるようです。
本展では、晩年に境地を開いた、豊満な裸婦像などの人物画はもちろん、初期の風景画、静物画、など、約80点あまりのルノワールの代表作を観ることができます。
フランスの小説家オクターヴ・ミルボーは、1913年に刊行されたルノワールの画集の序文で、「ルノワールの人生と作品は幸福というものを教えてくれる」と書いています。
この言葉は「幸福の画家」という称号をながくルノワールに与え、彼は女性と裸婦の芸術家として親しまれてきました。
しかし、ルノワールはその初期から装飾芸術に強い関心を示し、各地を旅して風景画も多く制作しています。
そこで『ルノワール―伝統と革新』展では、ルノワール芸術の魅力を4つの章(ルノワールへの旅、身体表現、花と装飾画、ファッションとロココの伝統)にわけ、印象派という前衛から出発したルノワールが、肖像画家としての成功に甘んじることなく、絵画の伝統と近代主義の革新の間で、絶えず模索をつづけた姿をご覧いただきます。
本展は、国内有数の印象派コレクションで知られるポーラ美術館の特別協力のもと、代表作を含む約80点を通して美術史の新しい視点からルノワールの絵画の魅力を探り、また本展を機に行われた光学調査により、画家ルノワールの技法の最新の知見をご紹介いたします。(展覧会公式サイトより)
今回は、現在六本木の国立新美術館で行われている『ルノワール―伝統と革新』展のご紹介です。
日本でも特に人気があり、みなさんもよくご存知のルノワール。
「色彩の魔術師」と呼ばれていたように、美しい色彩や、柔らかな雰囲気からは、その絵の中の空気が観ている側にも時間を越えて伝わってくるようです。
本展では、晩年に境地を開いた、豊満な裸婦像などの人物画はもちろん、初期の風景画、静物画、など、約80点あまりのルノワールの代表作を観ることができます。
それではいくつかオススメ作品をご紹介いたします。

《団扇を持つ若い女》
クラーク美術館、1879-80年頃、油彩・カンヴァス、65.0×54.0cm
女優としての名声が頂点に達していた、24歳頃のジャンヌ・サマリーが、流行のファッションを身につけ、
ジャポニズムを感じられる日本の団扇を手にして描かれている作品です。団扇の絵柄をよく見てみると、当時、日本で流行であった菊の花々が描かれているのがわかります。
美しいジャンヌ・サマリーを引き立てる後ろの花からも、芳醇な香りが漂ってくるような素敵な作品ですね。

《ブージヴァルのダンス》
ボストン美術館、1883年、油彩・カンヴァス、181.9×98.1cm
こちらはルノワールの「ダンス三部作」のひとつ、《ブージヴァルのダンス》。
パリ近郊、セーヌ河上流のお洒落な行楽地、ブージヴァルで踊る男女が描かれています。
この女性はのちに画家ユトリロの母であり、のちに画家としてもしられるようになるシュザンヌ・ヴァラドン。
なびくドレスからは軽快な動きが感じらせ、赤い帽子の色もこの作品を引き立てています。
行楽地で楽しんでいる背景の人々の表情からも、まさに、「人生の喜び」の一瞬を切り取ったかのような、幸福感溢れる作品ではないでしょうか。

《レースの帽子の少女》
ポーラ美術館(ポーラ・コレクション)、1891年、油彩・カンヴァス、55.1×46.0cm
今日ではルノワール最大の魅力となっている、裸婦の身体に当たる木漏れ日や影を青や紫の色点で表現した技法が当時の人々には理解されず、「腐った肉のようだ」と酷評されていました。
光の効果におぼれ形態を見失った印象派の技法に疑問をもちながら、1881年のイタリア旅行でラファエッロらの古典に触れたり、新古典派の巨匠アングルの影響で、硬い輪郭線、冷たい色調が目立つ作品を描くようになってきます。
しかし、1890年代に入ると、ルノワール本来の暖かい色調が戻り、再び柔らかい筆さばきの人物画を描き始めました。
この《レースの帽子の少女》の見所のひとつは、この華やかな帽子でしょう。
仕立屋の父とお針子の母をもつルノワールにとって、女性の衣装は幼い頃から身近なものでした。レース、サテン、絹など様々な素材を巧みに描き分けています。
19世紀は、パリを中心に新しいファッションが誕生した時代。ドレス以外にも、コテで巻いた巻き髪が流行したりと、当時の華やかな女性たちの様子が目に浮かびます。
今回のルノワール作品、特に女性はファッションに注目して観るのも面白いかもしれません。
光学調査で探るルノワールの絵画技法

絵画作品に対する光学調査では、画面の下に隠された絵画のほか、画家がおこなった描画手順、また技法や材料に関する情報が得られる可能性があります。今回の展覧会では、ルノワール作品に対しておこなったX線調査や赤外線調査の結果をもとに、おもに1880年代から90年代にかけてのルノワールの絵画技法を読み解きます。
ルノワールは晩年の20年余、慢性関節リューマチに苦しみましたが、麻痺した手に絵筆をくくりつけて、1919年にカーニュで78歳の生涯を閉じるまで、休むことなく制作を続けたそうです。
「僕はまだ、少しはましになっていくようだ。どう描けばいいのか、分かりかけてきたよ。
ここまでくるのに50年かかった…しかもやるべきことは、まだたくさんある!」
70歳を過ぎて語った言葉です。
その多くが華やかな作品ですが、多くの苦悩を経て、行きついたルノワールの芸術。
ぜひこの機会に、作品と共に画家ルノワールの人生も感じていただけたらと思います。
「ルノワール-伝統と革新」展 | 開催概要
■東京展
会期:2010年1月20日(水)~4月5日(月)
会場:国立新美術館(東京都・六本木)
主催:国立新美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
一般お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
■大阪展
会期:2010年4月17日(土)~6月27日(日)
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
主催:国立国際美術館、読売新聞社、読売テレビ
一般お問い合わせ:06-6447-4680(国立国際美術館 代表)
公式HP:http://www.renoir2010.com/index.html
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