展覧会レポート:「THEハプスブルク」展

現在、国立新美術館で行われている「THEハプスブルク」をご紹介いたします。 記事の最後には、チケットプレゼントもあります!(締切:11/26)

コラム | 2009-11-18 15:39:21

現在、国立新美術館で行われている「THEハプスブルク」をご紹介いたします。
チケットプレゼントあり!(締切:11/26)

アンドレアス・メラー
「11歳の女帝マリア・テレジア」
1727年 油彩 カンヴァス ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna

日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国(当時)が国交を結んで140年の節目にあたる今年、ウィーン美術史美術館(オーストリア)とブダペスト国立西洋美術館(ハンガリー)の所蔵品からハプスブルク家ゆかりの名品を核に選りすぐり、絵画の至宝75点に華麗な工芸品を加えた計約120点を展覧する大規模な美術展です。

ヨーロッパに600年以上君臨したハプスブルク家の歴代の王たちは、芸術を庇護し、愛し続けました。本展では、宮廷画家として活躍したデューラーやティツィアーノ、ベラスケス、ルーベンスらハプスブルク家ゆかりの巨匠たちに、クラナッハ、ラファエッロ、エル・グレコ、ゴヤらを加えた、総勢約50人もの大家たちによる逸品が集結します。イタリア絵画、オランダ・フランドル絵画、ドイツ絵画、スペイン絵画の代表作を紹介する本展は、16世紀から18世紀にかけての西洋美術の系譜と真髄をたどる絶好の機会となるでしょう。また、ルドルフ2世の宮廷芸術家だったミゼロー二の工芸品や、皇帝が実際に装着した甲冑や盾などは、ヨーロッパ貴族の華麗さと剛健さを伝え、展覧会に彩りを添えています。【展覧会公式サイトより】

ハプスブルクといえば、ヨーロッパ随一の名門王家。
1918年に崩壊するまで650年間に中欧に君臨しました。
特に中世~20世紀初頭には中部ヨーロッパで強大な勢力を誇り、オーストリア大公国、スペイン王国など多くの大公・王国・皇帝を代々出しました。
よって、おかかえ芸術家もデューラー、ベラスケス、ティツィアーノ、ルーベンスなどの宮廷画家の巨匠たちがずらり。今回の展覧会はそれ以外にもゴヤやグレコなども合わせ総勢50人もの大家たちの作品が集結します。

本展では膨大なコレクションをジャンル別に大きく6つのセクションに分け、構成されています。
それでは各セクションごと、みどころ作品を中心にレポートしていきます!


肖像画

ますはじめは、ハプスブルク家独特の個性的な風貌をありのまま描かせ、圧倒的な存在感をもった肖像画作品に迎えられます。
ハプスブルクは肖像画によって名門貴族の由緒を保ち、歴史的重要性をもたせました。

ここでのみどころはなんと言っても悲劇の皇妃として有名なエリザベートの美しさを描いた「オーストリア皇妃エリザベート」でしょう。
この時エリザベートは28歳、当代随一の美女と謳われました。
まっすぐとこちらを見据えた瞳と凛とした立ち姿がとても印象的です。
また、顔の表情はもちろん非常に細かく丹念に描かれた衣装の装飾なども見所のひとつです。

フランツ・クサファー・ヴィンターハルター
「オーストリア皇妃エリザベート」
1865年 油彩 カンヴァス 国家家財管理局 宮廷家財庫 ウィーン家具博物館蔵
(c) Bundesmobilienverwaltung - Hofmobilien depot Möbel Museum Wien


イタリア絵画

ハプスブルク家の歴代コレクターたちの関心は、常にイタリア絵画最盛期の16世紀に向けられていたそうです。
ここではティントレット、ベルナルディーノらの宗教画、ラファエロの肖像画など傑作の数々を観ることができます。
ジョルジョーネの「矢を持った少年」は、メランコリックな眼差しと白い柔らかい肌が特徴で、謎めいた美しさが魅力的な作品です。

ジョルジョーネ
「矢を持った少年」
1505年頃 油彩 板 ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


ドイツ絵画

次はイタリア絵画とは一転して独特な雰囲気が楽しめるドイツ絵画です。1500年代皇帝マクシミリアンⅠ世に仕えたデューラー、クラナッハらの作品が展示されています。
どれもマニアック?とも言えるくらいの精密な描写に、思わず目が離せません。

デューラーの「若いヴェネツィア女性の肖像」では、しっかりとした線描が女性の輪郭を的確に捉えています。また鮮やかな色はヴェネツィア絵画からの影響がわかり、モデルの若い女性の髪型は当時ヴェネツィアで流行していたものだそうです。

アルブレヒト・デューラー
「若いヴェネツィア女性の肖像」
1505年 油彩 板 ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


クラナッハの「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」にも注目です。
美しい少女サロメが微笑みを浮かべながら持つのは「生首」…という対比がすごい絵です。官能と死が近いものであることを表していることがわかります。

ルーカス・クラナッハ(父)
「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」
1530年代 油彩 板 ブダペスト国立西洋美術館蔵
(c) Szépművészeti Múzeum Budapest


特別出品

明治天皇が皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に友好のしるしとして贈った画帖(当時の絵師による日本の風景や暮らしを描いた100点の絵画が綴じられたもの)がウィーン美術史美術館に、同時期に贈ったとされる蒔絵棚はオーストリア国立工芸美術館に保管されていました。今回はこれらが140年ぶりに里帰りし、一般公開されています。

風俗・物語・花鳥図画帖より豊原国周
「三曲」
紙本彩色 ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


工芸と武具

次はハプスブルク家に16〜17世紀に収蔵されたものを中心に、王族の優雅な生活を感じさせる豪奢な彫刻や工芸品の数々が楽しめます。
これら工芸品などが陳列された部屋をヴァンダーカンマー(驚異の収集室)と称されていました。
高度な金工技術や象嵌、エッチングなどは同時代の日本の金工と共通するところも多く、モノや情報が東西を行き交わっていたことがわかります。

作者不詳
「ラピスラズリの鉢」
16世紀第3四半期 ラピスラズリ 金鍍金された銀 真珠 ウィーン美術史美術館
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


スペイン絵画

深い宗教性を帯びているスペイン絵画。ここでは、18世紀にかけて活躍したムリーリョやエル・グレコらスペインの代表的作家の傑作を観ることができます。

そして見所はやはりベラスケスの「皇太子フェリペ・プロスペロ」「白衣の王女マルガリータ・テレサ」でしょう。
巨匠ベラスケスは、国王やその家族など、芸術性の高い肖像画を数多く残しています。
この作品では、身に着けている衣装や背景の調度品などで状況や意味、さまざまなことが見えてくる作品です。
何ともいえない儚げな雰囲気が漂う「皇太子フェリペ・プロスペロ」。皇子はこの制作から2年後世をさりました。

左:ディエゴ・ベラスケス 
「皇太子フェリペ・プロスペロ」
1656年頃 油彩 カンヴァス ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna

右:ディエゴ・ベラスケス
「白衣の王女マルガリータ・テレサ」
1656年頃 油彩 カンヴァス ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


フランドル・オランダの絵画

ここではバロック時代を代表する画家、フランドルの巨匠ペーテル・パウル・ルーベンスやヴァン・ダイク、レンブラントらこの地方を代表する画家の作品が展示されています。
マリアと姉マルタの表情や動きの対比が面白いルーベンスの大作「悔悛するマグダラのマリアと姉マルタ」は特に見所です。

ペーテル・パウル・ルーベンス
「悔悛するマグダラのマリアと姉マルタ」
1620年頃 油彩 カンヴァス ウィーン美術史美術館蔵
(c) Kunsthistorisches Museum, Vienna


最後はお楽しみのミュージアムショップ。各作品のポストカードはもちろん、今回は漫画「ベルサイユのばら」の作者、池田理代子さん直筆のエリザベート、テレジア、マルガリータのイラスト版画作品も展示、販売されています。

以上「THEハプスブルク」展レポートでした!
スペイン、イタリア、ドイツ、オランダとそれぞれのお国柄による持ち味が、一度に観ることができたのはとても興味深かく、面白かったです。
ハプスブルク家という軸を通して、当時のヨーロッパ選りすぐり美術を堪能できる、見所満載の展覧会でした。

THE ハプスブルク @国立新美術館(東京・六本木)
会期:2009年9月25日(金)~ 12月14日(月)
休館日:毎週火曜日。ただし11月3日(火・祝)は開館、翌4日(水)休館。
開館時間:午前10時~午後6時 金曜は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
展覧会公式サイト:http://www.habsburgs.jp/
主催:国立新美術館、読売新聞東京本社、TBS

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